
衝撃の甘さと深い苦味。ベトナム コーヒーの世界へようこそ。
グラスの底に沈んだ真っ白な練乳と、その上から滴り落ちる漆黒の液体。
初めてベトナムコーヒーに出会った時、その見た目と衝撃的な甘さに驚きませんでしたか?
「でも、なんであんなに甘いの?」
「普通のコーヒーと一体何が違うんだろう?」
「あの独特な味を、お家でも楽しめたら…」
もしあなたが少しでもそう感じたことがあるなら、この記事はきっとあなたのためのものです。
その独特な味わいには、ベト-ナムの歴史や気候が生んだ知恵、そして力強いコーヒー豆の物語が隠されています。この記事では、そんなベトナム コーヒーの奥深い魅力と謎を一つひとつ解き明かしていきます。
●この記事を読んでほしい人
- ベトナムコーヒーの濃厚な甘さと苦味の秘密が気になっている人
- 自宅で本格的なベトナムコーヒーを淹れてみたいと考えている人
- ただ飲むだけでなく、その背景にある歴史や文化まで深く知りたい人
●この記事を読むメリット
- なぜ練乳を使うのか、歴史的背景から理由がわかる
- 味の決め手である「ロブスタ種」の豆の特徴がわかる
- 専用器具「フィン」を使った本格的な淹れ方をマスターできる
- カルディで揃う豆や、手軽なインスタントコーヒーの選び方がわかる
- 卵やヨーグルトを使った驚きのアレンジコーヒーの世界を知れる
この記事を読み終える頃には、あなたもきっと、誰かにその魅力を語りたくなるほどのベトナムコーヒー通になっているはずです。
さあ、甘く濃厚な香りに包まれながら、奥深いコーヒーの旅へと出発しましょう。
ベトナムコーヒーは文化を味わう一杯

衝撃的な甘さと深い苦みのハーモニー
私がベトナムで初めてあのコーヒーを目の前にした時のことは、今でも鮮明に覚えています。グラスの底には真っ白な練乳(コンデンスミルク)が沈み、その上から注がれた漆黒のコーヒーがゆっくりと滴り落ちていく。混ぜ合わせる前の、あの美しい二層のコントラストから、ベトナムコーヒーの物語は始まります。
まずは強烈な苦味の洗礼
ベトナムコーヒーで使われる豆は、ガツンとくる力強い苦味が特徴です。日本の喫茶店で飲むマイルドなコーヒーを想像して口にすると、その違いにきっと驚くでしょう。人によっては「焦げたような香り」と表現するほどの、焙煎の深さを感じさせる味わい。この潔いほどの苦味が、まず最初のインパクトです。
濃厚な練乳の優しい甘さ
一方で、グラスの底で待っているのは、とろりとした濃厚な甘さを持つ練乳(コンデンスミルク)です。新鮮な牛乳が手に入りにくかった時代背景から生まれた知恵ですが、今では欠かせない存在になっています。
この両極端な個性がぶつかり合うことで、奇跡のような調和が生まれるのです。スプーンでゆっくりとかき混ぜると、漆黒と純白が美しいキャラメル色に溶け合っていく。一口飲めば、練乳のクリーミーな甘さがコーヒーの角を取り、ただ甘いだけではない、奥深いコクと香ばしさを引き立てます。
強烈な苦味と、それを包み込む深い甘さ。この絶妙なバランスこそが、一度体験すると忘れられなくなるベトナムコーヒーの魅力の核心と言えるでしょう。
味の決め手は力強いロブスタ種の豆
あのガツンとくる苦味には、はっきりとした理由があります。ベトナムコーヒーの主役は、「ロブスタ種」と呼ばれる種類のコーヒー豆なのです。実はベトナム、このロブスタ種の生産量では世界第一位を誇る、コーヒー大国でもあります。
日本人に馴染み深いアラビカ種との違い
私たちが普段、日本のカフェなどで口にするコーヒーの多くは「アラビカ種」です。華やかな香りと爽やかな酸味が特徴で、繊細な風味を持ちます。
一方のロブスタ種は、酸味がほとんどなく、麦茶や玄米を思わせるような香ばしさと、どっしりとした苦味とコクが持ち味です。カフェインの含有量もアラビカ種の約2倍あると言われており、非常に力強い豆なのです。ベトナムの高温多湿な気候は、このたくましいロブスタ種の栽培に適していたという訳です。
練乳と出会うべくして生まれた豆
正直に言いますと、このロブスタ種をブラックで飲むと、多くの人が「苦い」「クセが強い」と感じるかもしれません。しかし、その力強さこそが、ベトナムコーヒーには不可欠なのです。
繊細なアラビカ種では、濃厚な練乳の甘さに負けてしまいます。ロブスタ種のしっかりとした苦味とコクがあるからこそ、あの強烈な甘さと見事に渡り合い、唯一無二の深い味わいを生み出すことができます。
まさに、練乳と出会うべくして生まれたコーヒー豆。ベトナムコーヒーのあの味わいは、ロブスタ種なくしては語れないのです。
なぜ練乳?歴史が生んだベトナムの知恵
ベトナムコーヒーのもう一つの主役、それは間違いなく「練乳(コンデンスミルク)」でしょう。コーヒーに牛乳ではなく、甘い練乳を入れるスタイルに、初めて出会った時は本当に驚きました。このユニークな組み合わせには、ベトナムの歴史と気候が生んだ、素晴らしい知恵が隠されています。
牛乳が貴重品だった時代背景
ベトナムにコーヒー文化が持ち込まれたのは、19世紀のフランス植民地時代です。当時、ベトナムでは酪農が盛んではなく、新鮮な牛乳は手に入りにくい、大変な貴重品でした。
さらに、冷蔵庫が普及していなかった時代です。たとえ牛乳が手に入ったとしても、生乳を保存することは極めて難しく、一般の人々がコーヒーに牛乳を入れて楽しむことは現実的ではありませんでした。
保存と甘さを両立する名脇役
そこで登場したのが、缶詰に入った加糖練乳です。常温で長期間保存ができ、価格も手頃。フランス人から伝わったコーヒーを自分たちのスタイルで楽しむために、練乳はまさに救世主のような存在だったのです。
また、高温多湿なベトナムでは、人々は甘くて冷たい飲み物を好む傾向があります。濃厚な甘さを持つ練乳は、厳しい暑さの中で癒しと活力を与えてくれる飲み物として、ごく自然に受け入れられました。
単なる牛乳の代用品として始まった練乳の使用は、やがてベトナムの人々の嗜好と文化に深く根付き、ベトナムコーヒーのアイデンティティそのものを形作るに至ったのです。
金属フィルターが淹れる濃厚な時間
ベトナムコーヒーの世界観を完成させる最後のピースが、専用の抽出器具です。アルミやステンレスでできた、少しレトロな雰囲気も漂う金属フィルター。「カフェ・フィン」と呼ばれています。このフィンが、コーヒーを淹れる行為そのものを、特別な時間に変えてくれるのです。
「フィン」が引き出すコーヒーの油分とコク
フィンは、コーヒー粉を入れる本体、上から粉を押さえる中蓋、そして受け皿にもなる上蓋という、とてもシンプルな構造をしています。
最大の特徴は、ペーパーフィルターを使わない点にあります。紙のフィルターは、コーヒー豆が持つ本来の油分を吸い取ってしまいますが、金属のフィルターは油分をそのまま抽出します。このコーヒーオイルが、ベトナムコーヒーの口当たりを、とろりとして濃厚なものにしているのです。
ポタリ、ポタリ…待つ時間もご馳走
フィンで淹れるコーヒーは、時間がかかります。お湯を注いでから、すべてのコーヒーがグラスに落ちきるまで、5分から10分ほど。ポタリ、ポタリと、一滴ずつゆっくりと抽出されていく様子を、ただ静かに眺めます。
効率やスピードが求められる現代では、少しもどかしく感じるかもしれません。しかし、ベトナムのカフェで人々がのんびりとおしゃべりをしながら、この時間を楽しんでいる光景を見た時、これもまた文化なのだと気づかされました。
この待つ時間こそが、忙しい日常に句読点を打ち、心を落ち着かせてくれる最高のスパイス。フィンは単なる道具ではなく、豊かな時間を生み出す装置とも言えるでしょう。
私が初めて見た驚きのコーヒー文化
今でこそベトナムコーヒーの魅力について語っていますが、私も最初は驚きの連続でした。何年も前に初めてベトナムを訪れ、レストランで食後にコーヒーを頼んだ時の光景は、一種のカルチャーショックとして今でも心に焼き付いています。
テーブルの上で完成する一杯のコーヒー
注文すると、運ばれてきたのは見慣れたコーヒーカップではありません。グラスの上に、小さな金属製の器具「フィン」が乗っているだけ。そして、店員さんは特に説明もなく、そのまま立ち去ってしまいます。
どうしたものかと戸惑いながら眺めていると、器具からポタポタと黒い液体がグラスに滴り落ちていきます。目の前で、自分のための一杯がゆっくりと完成していくのです。この「待つ」という行為自体が、おもてなしの一部なのだと知った最初の瞬間でした。
氷とミルク、そして人々の日常
抽出が終わると、今度は氷がぎっしり入った別のグラスが運ばれてきます。あの少量で濃厚なコーヒーを、ためらわずに氷のグラスへ注ぎ、そこにミルク、つまり練乳を加えてかき混ぜる。これがベトナムのスタイルでした。
そして最も印象的だったのは、その光景が決して特別なものではなかったことです。周りを見渡せば、老いも若きも、男性も女性も、昼間のレストランや街角のカフェで、当たり前のようにそのコーヒーを楽しんでいます。仕事の合間に一息ついたり、友人との会話に花を咲かせたり。
ベトナムの人々にとって、コーヒーは生活に深く溶け込んだ、コミュニケーションに欠かせない文化なのだと肌で感じた体験でした。
ベトナムコーヒーを日本で楽しむ方法

簡単!フィンを使ったコーヒーの淹れ方
一見、専門的に見える金属フィルター「フィン」ですが、使い方は驚くほどシンプルです。いくつかのポイントさえ押さえれば、誰でも簡単にご自宅で本格的なベトナムコーヒーの味を再現できます。さっそく、手順を見ていきましょう。
まずは道具と材料を準備しましょう
本格的な味への第一歩は準備から。必要なものは以下の通りです。
- ベトナムコーヒーの粉: 約15~20g。中挽き~細挽きがおすすめです。
- 練乳: 大さじ1~2杯。お好みの甘さに調整してください。
- お湯: 90℃前後のお湯を約100~120ml。
- その他: フィン、耐熱グラス、かき混ぜるスプーン。アイスの場合は氷をたっぷり入れたグラスも用意します。
美味しく淹れる簡単4ステップ
準備ができたら、いよいよ抽出です。豊かな時間を楽しむ気持ちで、ゆっくり進めましょう。
1. セッティングと蒸らし
耐熱グラスに練乳を入れ、その上にフィンをセットします。コーヒー粉を入れて軽くならし、中蓋をそっと乗せましょう。ここからが重要です。まず少量のお湯を注いで粉全体を湿らせ、20~30秒ほど蒸らします。この一手間が、コーヒーの味を最大限に引き出す秘訣です。
2. じっくり抽出
蒸らしが終わったら、残りのお湯をゆっくりと円を描くように注ぎ、上蓋をします。あとは、コーヒーがポタリ、ポタリと落ちきるのを待ちましょう。5分から10分ほど、立ち上る香りを楽しみながら待つ、贅沢な時間です。
3. 混ぜて完成(ホットの場合)
抽出が終わったらフィンを外します。フィンの上蓋は、逆さにすると受け皿になるので便利です。グラスの底にたまった練乳と、抽出された濃厚なコーヒーをスプーンでよくかき混ぜれば、ホットベトナムコーヒーの完成です。
4. 氷のグラスへ(アイスの場合)
ベトナムで最もポピュラーなアイスコーヒー「カフェスアダー」を楽しむ場合は、氷をたっぷり入れた別のグラスを用意します。そこに、出来立てのホットコーヒーを注ぎ入れ、よく混ぜれば、ひんやり美味しい一杯の出来上がりです。
慌てず、時間をかけることが美味しく淹れる一番のコツ。ぜひ挑戦してみてください。
カルディで揃う?器具と豆の選び方
「ベトナムコーヒーを始めてみたいけど、道具や豆はどこで?」
そんな風に思った時、強い味方になってくれるのが、輸入食品が豊富に揃うカルディコーヒーファームです。全国に店舗があり、気軽に立ち寄れるカルディで、ベトナムコーヒーの旅を始めてみましょう。
器具:「フィン」は手に入る?
まず、あの特徴的な金属フィルター「フィン」ですが、カルディでは取り扱いがある場合が多いです。コーヒー器具が並ぶコーナーを探してみてください。
ただし、店舗や時期によって在庫状況は変わるため、もし見当たらない時は店員さんに尋ねてみるのが確実です。比較的手頃な価格で手に入ることが多いので、見つけたらぜひ試してみてください。
コーヒー豆の選び方・3つの選択肢
次に、主役のコーヒー豆です。選び方にはいくつかの選択肢があります。
- 最も簡単な「G7インスタントコーヒー」まず最も手軽なのが、インスタントタイプの「G7」コーヒーです。砂糖とミルクも入った3in1タイプは、お湯を注ぐだけで本場の甘く濃厚な味わいが楽しめます。「どんな味か試したい」という初めての方には、こちらが一番おすすめです。
- 深煎り豆で代用するフィンを使って自分で淹れたい場合は、深煎りの豆を選びましょう。カルディのオリジナルブレンド豆の中では、ガツンとした苦味が特徴の「リッチブレンド」が練乳の甘さと良く合います。また、「イタリアンロースト」のような、苦味とコクが際立つ最も深い焙煎度の豆も良い選択です。
- 「ベトナム」の豆を探すもし「ベトナム」と明記された豆や、ベトナムコーヒーの主役である「ロブスタ種」を使ったブレンドが見つかれば、それは理想的な選択肢と言えるでしょう。
忘れずに!主役の「練乳」
ベトナムコーヒーに欠かせない練乳も、もちろんカルディで手に入ります。製菓材料のコーナーや、ジャムなどが並ぶ棚にあることが多いです。もちろん、お近くのスーパーでも購入できますので、忘れずに準備しましょう。
このように、カルディはベトナムコーヒーを始めるための入り口として、とても便利な場所です。ぜひ一度、お店を覗いてみてください。
まずはG7インスタントで本場の味を
「フィンを使って淹れるのは、少しハードルが高いな…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にこそ、まず試していただきたいのが、ベトナムを代表するインスタントコーヒー「G7」です。これ一つで、驚くほど本格的な味わいが楽しめます。
ベトナム最大のコーヒーブランド「チュングエン社」の自信作
「G7」は、ベトナムで絶大な人気を誇る「チュングエン・コーヒー」が製造しています。ベトナム国内のカフェはもちろん、お土産の定番としても有名で、まさに国民的インスタントコーヒーと呼べる存在です。世界中のインスタントコーヒーとブラインドテストを行い、その品質の高さを証明したという逸話もあるほどの自信作なのです。
お湯だけで完成!「3in1」の手軽さ
「G7」の中でも特に人気なのが「3in1」タイプです。一つのスティックに、コーヒー、砂糖、そしてミルク成分がすべて入っています。
カップに粉末を入れ、お湯を注いでかき混ぜるだけ。たったこれだけで、あのベトナムコーヒー特有の、濃厚な甘さと深い苦味のハーモニーが目の前に現れます。豆や器具を揃える前に、まずは本場の味を知るための、最高の入り口と言えるでしょう。
ホットでもアイスでも美味しく飲める
もちろん、そのままホットで飲むのも美味しいですが、アイスにするのも簡単です。お湯の量を少し減らして濃いめに溶かし、氷をたっぷり入れたグラスに注げば、ベトナムの街角で飲むような本格アイスコーヒーが楽しめます。
「ベトナムコーヒーって、どんな味なんだろう?」
その最初の好奇心を、G7コーヒーは手軽に、そして見事に満たしてくれます。
日本で飲める!おすすめ本格カフェ
自分で淹れるのも楽しいですが、やはり一度はプロが淹れた本場の味を体験してみたいものですよね。嬉しいことに、近年は日本でも本格的なベトナムコーヒーが楽しめるカフェが増えてきました。まるでベトナムへ小旅行に来たかのような、素敵な時間が過ごせるお店をいくつかご紹介します。
【東京・横浜エリア】エッグコーヒーの元祖を味わう
ベトナムコーヒーの中でも特に有名な「エッグコーヒー」を飲むなら、横浜中華街にある「CAFE GIANG(カフェ・ザン)」は外せません。ハノイでエッグコーヒーを考案した創業者の世界唯一の支店で、まさに元祖の味を体験できます。カスタードクリームのように濃厚で甘い卵の泡と、ビターなコーヒーが織りなす味わいは、「飲むティラミス」と称されるのも納得の美味しさです。
【愛知エリア】地元で愛される本格ベトナムデリ
愛知県近郊では、「ベトナムデリ珈琲」がおすすめです。ベトナム食品メーカーが母体というだけあり、その味は折り紙付き。名産地ダラットの豆を使った本格的なコーヒーはもちろん、フォーやバインミーといったフードメニューも充実しています。松坂屋名古屋店などにも店舗があり、ショッピングの合間に気軽に立ち寄れるのも嬉しいポイントです。
【大阪エリア】駅ナカで気軽に本場の風を
大阪で本格的な味を手軽に楽しむなら、新大阪駅構内にある「ngon cà phê(ゴンカフェ)」が便利です。ベトナム人シェフが腕を振るい、ベトナムの有名ブランド「チュングエン」の豆を使用しています。定番のベトナムコーヒーはもちろん、ヨーグルトコーヒーなども楽しめます。新幹線に乗る前や、旅の途中で、気軽にベトナムの風を感じてみてはいかがでしょうか。
ここで紹介した以外にも、日本には素敵なベトナムカフェがたくさん隠れています。お住まいの地域でも、ぜひ探してみてください。カフェの扉を開ければ、そこはもうベトナムです。
卵やヨーグルト?驚きのアレンジ
ベトナムコーヒーの魅力は、練乳を使った定番のスタイルだけにとどまりません。ベトナムの人々の柔軟な発想が生み出した、驚くような、そしてとても美味しいアレンジコーヒーの世界を少しだけご紹介します。
カフェ・チュン(エッグコーヒー):飲むデザート
「コーヒーに卵?」と、初めて聞いた時は耳を疑いました。しかし、このエッグコーヒーこそ、ベトナムの首都ハノイを代表する名物なのです。卵黄と練乳をふわふわになるまで泡立てた、まるでカスタードクリームのような泡を、濃厚なコーヒーの上に乗せていただきます。
その味わいは、まさに「飲むティラミス」。甘くクリーミーな泡と、下の層にあるビターなコーヒーを少しずつ混ぜながら飲めば、味の変化も楽しめます。戦争で牛乳が不足した時代に生まれた、創造的な一杯です。
スア・チュア・カフェ(ヨーグルトコーヒー):意外な爽やかさ
こちらも驚きの組み合わせですが、ヨーグルトの酸味とコーヒーの苦味が、意外にも素晴らしい相性を見せてくれます。特に暑い日には、その爽やかな味わいが体に染み渡ります。
ベトナムでは自家製のヨーグルトもポピュラーで、濃厚でクリーミーなものが多いため、力強いベトナムコーヒーと合わせても味が負けません。練乳も加えて、甘酸っぱさとほろ苦さを楽しむ、新感覚のコーヒードリンクです。
まだある!ココナッツや塩との出会い
探求の旅はまだまだ続きます。
- ココナッツコーヒー(カフェ・ズア): ココナッツミルクのスムージーに、コーヒーショットを加えたような、南国感あふれる一杯。シャリシャリとした食感も楽しく、トロピカルな甘い香りに癒されます。
- 塩コーヒー(カフェ・ムオイ): 中部の古都フエの名物。少量の塩が練乳の甘さを引き立て、コーヒーの苦味をまろやかにしてくれます。スイカに塩をかけるような、味の対比が生み出す奥深さが魅力です。
これらのアレンジは、ベトナムのコーヒー文化がいかに自由で、遊び心に満ちているかを物語っています。もしカフェで見かけたら、ぜひ勇気を出して試してみてください。新しい美味しさの扉が開かれるはずです。
まとめ:ベトナム コーヒーは日常を豊かにする一杯

記事のポイント
- 強い苦味と濃厚な練乳が織りなす独特の甘さが特徴
- 主役の豆は苦味とコクが強いロブスタ種である
- 練乳の使用は牛乳が貴重だった歴史から生まれた知恵
- 金属フィルター「フィン」で油分ごと濃厚に抽出する
- コーヒーが落ちるのを待つ時間そのものを楽しむ文化
- 自宅でも簡単な手順で本格的な味を手軽に再現可能
- 豆や器具はカルディのような輸入食品店で入手できる
- まずG7インスタントで本場の味を試すのがおすすめ
- 日本国内にも本場の味を提供する専門カフェが存在
- 卵やヨーグルトと合わせるユニークな飲み方もある
総括
今回は、ベトナム コーヒーの魅力について、その歴史的背景から美味しい淹れ方、ユニークなアレンジまで、幅広くご紹介しました。漆黒のコーヒーと白い練乳が織りなす衝撃的な甘さ、その裏にあるロブスタ種の力強い苦味、そしてフランス植民地時代の知恵が生んだ文化。単なる飲み物ではない、奥深い物語を感じていただけたのではないでしょうか。
この記事をきっかけに、「まずはG7のインスタントで試してみよう」「今度カルディでフィンを探してみようかな」と思っていただけたら、とても嬉しいです。もしお近くに専門店があれば、プロが淹れた本格的な一杯、特にカスタードのようなエッグコーヒーを体験するのも格別ですよ。
ポタリ、ポタリとコーヒーが落ちるのを待つ、あのゆったりとした時間こそが、忙しい現代の私たちにとって最高の贅沢なのかもしれません。ぜひご自宅で、自分だけのために淹れる特別なベトナム コーヒーを味わってみてください。
強烈な苦味と深い甘さが溶け合ったその一杯は、きっとあなたの日常に新鮮な驚きと、心安らぐひとときをもたらしてくれるはずです。