
マレーシア地震は本当にない?安全神話の真実を確かめませんか?
「マレーシアは地震がなくて安全な国」
多くの人が、そうしたイメージを持っているのではないでしょうか。旅行先や移住先として人気が高い理由の一つでもあります。
しかし、そのイメージは本当に100%正しいのでしょうか。もしかしたら、あなたが知らないだけで、マレーシア地震のリスクについて誤解している点があるかもしれません。
この記事では、単なるイメージだけでなく、科学的なデータや過去の事例に基づき、マレーシアの地震リスクの真実をどこよりも分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
●この記事を読んでほしい人
- マレーシアへの旅行や出張を予定している人
- マレーシアへの移住や留学、駐在を検討中の人
- 「マレーシアは安全」というイメージの根拠を正確に知りたい人
●この記事を読むメリット
- 安全と言われる科学的な理由がわかる
- 国内に潜む地震リスクの真実を知れる
- 近隣諸-国とのリスクの違いを客観的なデータで比較できる
- 国の最新の防災対策や建築基準の今がわかる
- 万が一の際に命を守るための具体的な行動が身につく
漠然としたイメージを、確かな知識へ。安全神話の裏に隠された真実と、本当に必要な備えとは。あなたのその疑問に、この記事が全てお答えします。さあ、一緒にマレーシアの地震リスクの全体像を解き明かしていきましょう。
マレーシア地震の真実【安全神話は本当か?】

安全と言われる地質学的な理由
「マレーシアは地震がなくて安全な国」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。多くの人がそう信じているのには、しっかりとした科学的な理由があります。マレーシアの国土が置かれている、特別な地理的条件を見ていきましょう。
巨大で安定した岩盤「スンダプレート」
マレーシアの国土の大部分は、「スンダプレート」と呼ばれる非常に巨大で安定した一枚の岩盤の、ほぼ中央に位置しています。
地震の多くは、プレートと呼ばれる岩盤同士がぶつかり合ったり、片方がもう一方の下に沈み込んだりする「プレートの境界」で発生します。マレーシアは国土のほとんどがプレートの境界から遠く離れた中心部にあるため、国土の真下で巨大地震が発生する可能性が極めて低いのです。
地震多発地帯からの絶妙な距離
世界の地震の9割以上は、「環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイア)」と呼ばれる特定のエリアで発生しています。日本やインドネシア、フィリピンといった地震多発国は、まさにこの火山帯の真上に位置しています。
マレーシアと近隣諸国の地質学的な位置関係には、以下のような決定的な違いがあります。
- マレーシア
- 安定した「スンダプレート」の中央部に位置する。
- 日本、インドネシア、フィリピンなど
- 複数のプレートが激しくぶつかり合う「環太平洋火山帯」の真上に位置する。
マレーシアは、この非常に活発な地震地帯から地理的に離れているという、地質学的な幸運に恵まれています。
こうした理由が、マレーシアがこれまで大規模な地震災害を免れ、「地震が少ない安全な国」というイメージを築いてきた科学的な根拠となっています。しかし、この安全は絶対的なものではありません。
国内にも存在する活断層のリスク
地震の少ない国として知られるマレーシアですが、地面の下が完全に静かというわけではありません。実は、マレーシア国内に地震を引き起こす可能性のある「活断層」が存在していることが確認されています。
マレーシア半島に潜む揺れの火種
マレーシア半島には、地震の源となる可能性のある複数の活断層が確認されています。代表的な活断層には、以下のようなものがあります。
- ブキッ・ティンギ断層
- クアラ・ピラ断層
- メルシン断層
これらの断層は、プレート境界にある巨大な断層ほど活動的ではありません。しかし、実際に首都クアラルンプール近郊のブキッ・ティンギでは、2007年から2009年にかけて、体に感じない程度の小さな地震が断続的に発生する「群発地震」が観測されました。
ボルネオ島(東マレーシア)の状況
地震のリスクは、マレーシア半島だけに限った話ではありません。ボルネオ島にあるサバ州やサラワク州にも、独自の断層系が存在しています。特にサバ州では、過去に何度も被害を伴う地震が発生しており、半島部とは異なるレベルでの注意が必要です。
近年ジョホール州で発生した地震
これまで比較的安全とされてきたマレーシア半島南部でも、活断層のリスクが現実のものとして認識される出来事がありました。2025年にジョホール州のセガマッで発生した地震です。
この地震の規模はマグニチュード4.1と中程度でしたが、モスクの天井が崩落するなどの具体的な被害が出ました。この出来事は、マレーシア半島にも地震を引き起こす力を持った活断層が確かに存在し、決して無視できないリスクであることを示す「警鐘」となったのです。
過去の教訓:津波とサバ州地震
マレーシアの地震リスクに対する考え方を根底から変えた、21世紀の二つの大きな出来事があります。国外からやってきた津波の脅威と、国内で発生した地震の衝撃です。この二つの経験が、現在のマレーシアの防災対策の基礎となっています。
外部からの脅威:2004年インド洋大津波
2004年12月26日、インドネシアのスマトラ島沖で発生した巨大地震は、マレーシアの歴史における最大の転換点となりました。
地震そのものの揺れによるマレーシア国内での直接的な被害はほとんどありませんでした。しかし、その後に発生した巨大な津波が、ペナン島やランカウイ島といった西海岸の美しいリゾート地を襲いました。この津波により、マレーシア国内だけで68名もの尊い命が奪われるという、未曾有の事態となったのです。
この悲劇は、マレーシア国民に「地震と津波は遠い国の話ではない」という厳しい現実を突きつけ、防災意識の最初の「覚醒」を促しました。
内部からの衝撃:2015年サバ州ラナウ地震
2004年の津波が「外部からの脅威」であったのに対し、2015年6月5日にサバ州で発生した地震は、「内部からの脅威」が現実のものであることを証明しました。
この地震はマグニチュード6.0と中規模でした。しかし、震源が地表から非常に浅かったため、局所的に極めて強い揺れを引き起こしました。その結果、世界遺産であるキナバル山で大規模な地すべりや落石が発生し、登山客やガイドを含む18名が犠牲となりました。マレーシアの現代史において、国内を震源とする最も破壊的な地震として記録されています。
出来事 | 発生年 | 被害の主な原因 | マレーシア国内の死者 |
インド洋大津波 | 2004年 | 津波 | 68名 |
サバ州ラナウ地震 | 2015年 | 地震の揺れ、土砂崩れ | 18名 |
このサバ州での地震は、「マレーシア国内でも、人命を奪う破壊的な地震は起こりうる」という事実を、否定できない形で示したのです。これらの過去の教訓が、国の防災体制を根本から見直す強力な原動力となりました。
近隣諸国とのリスクをデータで比較
マレーシアの地震リスクがどの程度のものなのかを客観的に知るために、最も効果的な方法は、地震多発国として知られるお隣の国、インドネシアやフィリピンと比較することです。具体的な科学的データを見ることで、マレーシアの立ち位置がはっきりと見えてきます。
揺れの強さを示す指標「最大地動加速度」
地震リスクを比較する上で、「最大地動加速度(Peak Ground Acceleration, PGA)」という専門的な指標が使われます。
最大地動加速度とは、地震の際に地面がどれくらいの強さで揺れるかを示した数値です。数値が大きければ大きいほど、揺れが激しいことを意味します。建物の耐震設計を考える際の基礎となる、非常に重要なデータです。
ASEANのハザードマップが示す事実
近年の研究で、東南アジア全域の地震ハザードマップが作成されました。そのデータに基づき、マレーシア、インドネシア、フィリピンのPGAの値を比較したのが以下の表です。
確率の想定 | マレーシアのPGA値 | インドネシア・フィリピンのPGA値 |
50年で10%(一般的な設計基準) | 0.0g 〜 0.15g | 最大 0.8g |
50年で2%(稀な巨大地震) | 0.0g 〜 0.25g | 最大 2.0g |
数値が意味すること:リスクの桁が違う
この表が示す結果は一目瞭然です。
一般的な建物の設計で考慮されるレベルの地震では、マレーシアで想定される揺れの強さは、インドネシアやフィリピンの5分の1以下です。さらに、稀にしか起こらない巨大地震を想定した場合、その差はさらに大きくなります。想定される揺れの強さのレベル、つまりリスクの桁が根本的に違うのです。
しかし、ここで最も重要なのは、マレーシアのPGA値が「ゼロではない」という事実です。専門家によれば、PGA値が0.06gを超える揺れは、耐震設計のない建物にひび割れなどの損傷を与える可能性があります。マレーシアの一部の地域では0.15gを超える揺れも想定されているため、リスクが低いからといって対策が不要ということにはなりません。
このデータ比較から言えることは、「マレーシアは地震大国ではないが、無視できないレベルの地震リスクを確かに抱えている」というバランスの取れた事実なのです。
地震リスクは「ゼロ」ではない
ここまでの情報を整理すると、マレーシアの地震リスクに関する全体像が見えてきます。「安全神話」は果たして本当だったのでしょうか。その結論は、決して単純な「はい」か「いいえ」では答えられません。
マレーシアは、地震が頻発する日本やインドネシアのような「地震大国」ではありません。しかし、全く地震が起こらない「無地震国」でもないのです。
マレーシアの地震リスク:要点のまとめ
これまでの内容から、以下の点が明らかになりました。
- 安定したプレート上にあり、近隣の地震大国よりはるかに安全な地盤にあること。
- しかし、国内には活動的な断層が存在し、過去には被害を伴う地震も発生していること。
- また、周辺地域で起こる巨大地震による揺れや、津波の影響を受ける可能性があること。
- したがって、地震リスクは無視できる「神話」ではなく、科学的に評価し、備えるべき「現実」であること。
マレーシアの地震リスクは、過度に恐れる必要はありませんが、軽視することもできません。「リスクはゼロではない」という事実を正しく認識することが、防災の第一歩となります。この現実を理解した上で、次に重要となるのが「では、どのように備えれば良いのか」という具体的な対策です。
マレーシア地震への備え【国と個人の対策】

国の防災体制はどう変わったのか?
2004年の津波と2015年のサバ州地震という二つの大きな悲劇は、マレーシアという国家の防災意識を根本から変える「警鐘」となりました。これらの出来事を教訓に、国の防災体制は大きく進化しています。
防災の司令塔「NADMA」の誕生
2015年のサバ州地震で露呈した課題の一つが、関係機関の連携不足でした。それまでのマレーシアでは、災害対応は各省庁が個別に行っており、統一的な指揮系統がなかったのです。
この教訓から、地震発生からわずか4ヶ月後の2015年10月、災害対応の新たな司令塔として**国家災害管理庁(NADMA)**が設立されました。NADMAの誕生は、マレーシアの防災史における最も重要な制度的変革と言えます。
- 役割:首相府の直轄機関として、災害の予防、準備、対応、復旧まで、災害管理の全サイクルを一元的に統括します。
- 権限:各省庁に分散していた災害管理の権限を集約し、強力な指揮命令系統を確立しました。
この司令塔の誕生により、国として迅速かつ統一感のある災害対応が可能になったのです。
リスクを可視化するハザードマップ
科学的根拠に基づいた対策を進めるため、リスクを地図上に示す国家地震ハザードマップの整備も進められました。
このハザードマップは、国内のどの地域がより高い地震リスクに晒されているかを、最大地動加速度(PGA)の予測値に基づいて色分けしたものです。これにより、土地利用計画や新しいインフラを開発する際に、地震リスクをあらかじめ考慮した意思決定を行うための科学的な土台ができました。
このように、専門機関の設立と科学的データの活用という二つの大きな変化を通じて、マレーシアは国全体で地震リスクと向き合うための体制を強化しています。
新耐震基準で建物は安全になったか?
国の防災体制と並行して進められたもう一つの大きな改革が、建物の安全基準の見直しです。2015年のサバ州地震では多くの建物が被害を受け、その脆弱性が大きな課題となりました。では、現在の建物は地震に対して安全になったのでしょうか。
耐震規定がなかった旧建築基準
驚くかもしれませんが、マレーシアでは長年にわたり、地震の揺れを想定した建築基準が存在しませんでした。基準となっていたのはイギリスの建築規格「BS8110」で、地震がほとんどない国で生まれた規格のため、地震の水平な揺れに対する強度は考慮されていなかったのです。
2017年に導入された「ユーロコード8」
サバ州地震の教訓を受け、マレーシアの建築業界は歴史的な一歩を踏み出します。2017年末、ヨーロッパの先進的な耐震設計基準である「ユーロコード8」をマレーシアの国内規格として正式に導入したのです。
建築基準 | 導入時期 | 耐震規定の有無 |
英国規格 BS8110 | 〜2017年 | なし |
ユーロコード8 | 2017年〜 | あり |
この新しい基準の導入により、2017年以降に設計・建設される建物、特に高層ビルや学校、病院といった重要な公共施設は、地震の揺れに耐えられるよう設計することが義務付けられました。これにより、新しく建てられる建物の安全性は、以前とは比較にならないほど向上しています。
残された課題「古い建物」の脆弱性
新しい建物の安全性は高まりましたが、大きな課題が残されています。それは、2017年以前の古い基準で建てられた、膨大な数の「既存の建物」の存在です。
現在のマレーシアの街には、新しい耐震基準で建てられた安全なビルと、地震への備えが不十分な古い住宅、学校、オフィスなどが混在しています。この「建物の安全格差」は、将来の地震発生時に被害の様相を大きく左右する可能性があり、マレーシアが抱える重要な防災上の課題となっています。
命を守る揺れた瞬間の基本行動
国や建物の対策が進んでいても、いざという時に自分の命を守るのは、一人ひとりの知識と冷静な判断です。もし突然、強い揺れに襲われたらどう行動すればよいのでしょうか。パニックにならずに済むよう、命を守るための最も基本的で重要な行動を覚えておきましょう。
最重要の安全行動「ドロップ、カバー、ホールドオン」
地震の揺れを感じた瞬間に取るべき行動は、世界共通の「ドロップ、カバー、ホールドオン」という3ステップです。この行動を瞬時に実行することが、落下物などから身を守り、生存率を大きく高めます。
- まず低く(DROP)揺れで転倒する前に、すぐにその場で四つん這いになり、体の姿勢を低くします。
- 頭を守り(COVER)丈夫な机やテーブルの下に隠れ、頭と首を落下物から守ります。隠れる場所がなければ、部屋の隅や窓から離れた場所に移動し、腕やカバンで頭を保護します。
- 動かない(HOLD ON)机の脚などにしっかりとしがみつき、揺れが収まるまでその場を動きません。
状況別:こんな時どうする?
いる場所によって、取るべき最適な行動は少し異なります。落ち着いて周りの状況を確認しましょう。
- 屋内にいる時慌てて外に飛び出さないでください。窓ガラスや本棚、照明など、倒れたり落ちてきたりしそうな物から離れて、屋内で身を守る方が安全です。高層ビルではエレベーターは絶対に使わないでください。
- 屋外にいる時建物や電柱、木などから離れた、開けた場所に移動します。建物のすぐそばは、窓ガラスや壁の破片が落下してくる可能性があり、最も危険な場所の一つです。
- 車を運転中の時ハザードランプを点灯させ、ゆっくりと道路の左側に車を停めます。橋の上や高架道路の下は避けてください。揺れが収まるまで車内で待機します。
- 海岸の近くにいる時マレーシアでは特に重要な行動です。強い揺れや、20秒以上続く長い揺れを感じた場合は、津波の危険があります。揺れが収まったら、警報などを待たず、直ちに海から離れて内陸の高台へ避難してください。
旅行者が準備すべき防災グッズリスト
旅行者であっても、災害への備えは他人事ではありません。慣れない土地で万が一の事態に遭遇した際に自分自身の安全を確保するため、旅行の準備段階からできることがあります。
旅行カバンに入れる最小限の備え
長期滞在用の防災セットとは異なり、旅行者は軽くてコンパクトなものを選ぶ必要があります。スーツケースやバックパックに、以下のグッズを加えておくだけでも安心感が大きく変わります。
カテゴリー | 準備するもの(例) |
照明・情報 | 小型LEDライト、スマートフォンの携帯充電器(パワーバンク) |
救急・衛生 | 絆創膏、消毒用ウェットティッシュ、常備薬、マスク |
食料 | カロリーの高いチョコレートやエナジーバーなどの携帯食 |
貴重品 | パスポートのコピー(データでも保存)、海外旅行保険証、現金(小額紙幣) |
道具類 | 助けを呼ぶための笛(ホイッスル)、多機能ナイフ |
特に笛は、がれきの下などに閉じ込められた際に、体力を消耗せず自分の居場所を知らせるための重要なアイテムです。
常に持ち歩く防災意識
観光などでホテルから離れる際にも、常に持ち歩くデイパックやハンドバッグの中に、最低限の備えを入れておくと安心です。
- スマートフォンの携帯充電器
- 少額の現金
- パスポートのコピー
- 滞在しているホテルの住所と連絡先がわかるカード
- 小さな笛
これらのアイテムは、災害時だけでなく、道に迷ったり、ちょっとしたトラブルに巻き込まれたりした際にも役立ちます。
現地に着いてからできること
準備は日本国内だけでなく、マレーシアに到着してからもできます。
ホテルにチェックインしたら、まず客室のドアに貼られている避難経路図に目を通し、非常口の位置を確認する習慣をつけましょう。また、ミネラルウォーターを1本、常に部屋に常備しておくことも簡単な対策の一つです。こうした小さな意識が、万が一の際の行動に大きな差を生みます。
知っておきたい地震保険の基礎知識
命や身の安全を守る備えと合わせて考えておきたいのが、被災後の生活を再建するための経済的な備えです。万が一、自分の家や財産が地震によって損害を受けた場合、保険でカバーされるのでしょうか。ここでは、マレーシアにおける地震保険の基本的な知識について解説します。
一般的な火災保険では補償されない
マレーシアで最も注意が必要な点は、一般的な火災保険や住宅保険では、地震による損害は補償の対象外であるということです。
地震は、洪水や地すべりなどと同じように「自然災害」のカテゴリーに含まれ、標準の保険契約には含まれていません。地震による損害の補償を受けるためには、火災保険に「地震危険特約」といった追加のオプションを付ける必要があります。
- 標準の火災保険:地震による損害は補償されない。
- 地震保険:火災保険への追加契約として任意で加入する。
加入は任意?それとも義務?
地震保険への加入は、基本的には個人の判断に委ねられる「任意加入」です。マレーシアでは地震リスクへの認識がまだ低いことから、加入率は依然として低いのが現状です。
しかし、一部のケースでは加入が求められることがあります。例えば、銀行ローンを組んで高層コンドミニアムを購入した場合など、金融機関や建物の管理組合が加入を義務付けている場合があります。
自分の資産を守るための選択肢
この記事で見てきたように、マレーシアの地震リスクはゼロではありません。万が一、中規模の地震が都市の近くで発生すれば、建物に深刻な被害が出る可能性は十分に考えられます。
地震保険への加入は、起こる可能性が低いリスクに備えるための「お守り」のようなものかもしれません。しかし、被災後の生活を立て直すための重要なセーフティーネットにもなります。自分の住まいが持ち家なのか賃貸なのか、また資産状況などを考慮し、選択肢の一つとして検討してみる価値はあるでしょう。
まとめ:マレーシア地震のリスクと正しく向き合おう

記事のポイント
- マレーシアは安定したプレート中央にあり地質学的に恵まれている
- 国内にも活断層は存在し、地震のリスクを内包している
- 2004年津波と2015年サバ州地震が国の防災意識を変えた
- 科学的データでは近隣の地震多発国よりリスクは格段に低い
- 「地震大国」ではないが「無地震国」でもないのが実情である
- 災害対応の司令塔として国家災害管理庁(NADMA)が設立された
- 2017年に新耐震基準が導入されたが古い建物には課題が残る
- 揺れた瞬間の基本行動は「まず低く、頭を守り、動かない」こと
- 旅行者も笛や携帯充電器など最小限の備えを持つことが推奨される
- 一般的な火災保険では地震による損害は補償されない
総括
この記事では、マレーシアの地震に関する「安全神話」から、科学的なデータに基づいたリスクの現実、そして国や個人ができる備えまでを詳しく見てきました。
「地震がない安全な国」というイメージは、安定した地盤の上にあるという地質学的な幸運に支えられています。しかし、その一方で国内には活断層が存在し、過去には津波や地震による被害も実際に発生しています。マレーシアは地震大国ではありませんが、決してリスクがゼロの国ではない、という事実をご理解いただけたのではないでしょうか。
重要なのは、このリスクを過度に恐れるのではなく、かといって無視することもなく、正しく理解して備えることです。国は過去の教訓から防災体制を強化し、建物の耐震基準も新しくなりました。私たち一人ひとりができることは、揺れた瞬間の基本行動を覚え、旅行や滞在の際には最小限の防災グッズを意識する、といった小さな心がけです。
この記事が、マレーシア地震について正しく考えるきっかけとなり、あなたのマレーシアでの滞在がより安全で安心なものになるための一助となれば幸いです。