【2025年最新版】インドネシア高速鉄道の現在。成功と失敗の全貌

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【2025年最新版】インドネシア高速鉄道の今。成功と失敗の全貌

絶賛と酷評の嵐!インドネシア高速鉄道の光と影の現在は?

連日満員の乗客を運び「大成功だ」と報じられる一方で、「巨額の赤字を抱える失敗プロジェクトだ」とも囁かれるインドネシア高速鉄道「Whoosh」。

「結局、このプロジェクトは成功なの?失敗なの?」

「あれだけ有力視されていた日本の新幹線は、なぜ土壇場で中国に負けてしまったの?」

そんな疑問をお持ちではありませんか?この記事では、運行面の華々しい実績から、建設の遅延、巨額の予算超過、そして日本が敗れた受注競争の真相まで、インドネシア高速鉄道が抱える光と影の両面を徹底的に解説します。

●この記事を読んでほしい人

  • インドネシア高速鉄道「Whoosh」が成功なのか失敗なのか、多角的な視点から結論を知りたい方
  • 日本が受注競争で中国に敗れた本当の理由と、その後の影響に関心がある方
  • プロジェクトが抱える赤字や今後の延伸計画など、リアルな現状を正確に把握したい方

●この記事を読むメリット

  • 運行面での「成功」と財務面での「失敗」という、プロジェクトの二面性が明確に理解できる
  • 日本が敗れた最大の理由である「政府保証」問題のからくりがわかる
  • 巨額の予算超過や赤字の実態、その具体的な金額がわかる
  • 駅のアクセス問題など、利用者目線での根本的な課題がわかる
  • 今後のスラバヤ延伸計画がなぜ難しいのか、その背景がわかる

この物語の始まりから現在、そして未来まで。多くの矛盾をはらんだ壮大なプロジェクトの真実を、ここから一緒に紐解いていきましょう。

成功か?インドネシア高速鉄道の現在と日本の敗北

成功か?インドネシア高速鉄道の現在と日本の敗北

開業から乗客1千万人突破!大人気の「Whoosh」

2023年10月に商業運行を開始したインドネシア高速鉄道「Whoosh(ウーシュ)」は、多くの予想を上回り、国民から絶大な支持を集めています。運行面においては、まさに目覚ましい成功を収めていると言えるでしょう。

驚異的なペースで利用者を伸ばす

Whooshの人気ぶりは、具体的な数字にもはっきりと表れています。運行開始から1年も経たない2024年6月の時点で、累計の乗客数は早くも1000万人を突破しました。この驚異的なペースは、Whooshがジャカルタとバンドンを結ぶ単なる移動手段ではなく、多くの人々にとって価値ある体験として受け入れられていることを証明しています。

増便に次ぐ増便で需要に対応

この旺盛な需要に応えるため、運行事業者であるPT KCICは矢継ぎ早に対応を進めています。開業当初は1日に20本前後だった運行本数は、現在では最大で62本まで増便される日もあるほどです。

特に週末や長期休暇などの繁忙期には、平均乗車率が90%を超えることも珍しくありません。連日満員の乗客を乗せて、インドネシアの二大都市間を駆け抜けているのです。このように、Whooshは開業後の実績において、運行面では誰もが認める大成功を収めています。

東京-名古屋間が46分?驚異のスペックとは

インドネシア高速鉄道Whooshのスペックは、まさに「驚異的」という言葉がふさわしいものです。その最大の魅力は、世界でもトップクラスの速さにあります。

最高時速350kmで駆け抜ける

Whooshの最高営業速度は、なんと時速350km。これは日本の東北新幹線「はやぶさ」などと並ぶ、世界最速レベルのスピードです。この速さにより、これまで自動車で3時間以上かかっていた首都ジャカルタと主要都市バンドン間の約142kmを、わずか46分で結ぶことを可能にしました。

車内では、列車が時速350kmに到達すると記念のアナウンスが流れるという演出もあり、多くの乗客がその瞬間を写真に収めるなど、移動そのものが一つの特別な体験となっています。

安全性と快適性を支える最新技術

この驚異的なスピードと快適な乗り心地を支えているのが、中国の最新高速鉄道技術です。車両には「復興号」シリーズをインドネシアの気候に合わせて最適化した最新型が使われています。

また、線路は日本の新幹線と同様に、踏切が一切存在しない「完全立体交差」の専用軌道です。これにより、高速走行の安全性を確保しています。利用者からは、その速さにもかかわらず「揺れが少なく静かだ」という声が多く聞かれ、技術力の高さを証明しています。

なぜ中国製に?日本が「裏切られた」受注競争の真相

インドネシア高速鉄道のプロジェクトは、当初、日本の新幹線システムが採用されることが有力視されていました。しかし、最終的に受注したのは中国でした。多くの日本人が「裏切られた」と感じた、この大逆転劇の真相に迫ります。

先行していた日本の「新幹線」案

もともとこの計画は、日本の国際協力機構(JICA)が長年にわたり調査に協力し、計画の具体化を主導していました。提案したのはもちろん、世界最高レベルの安全性と信頼性を誇る日本の新幹線システムです。

資金面では、事業費の大部分を低金利の政府開発援助(ODA)、いわゆる円借款で賄うという、実績のある堅実な計画でした。しかし、この日本の提案には一つ、極めて重要な条件がありました。それは、万が一事業がうまくいかなかった場合に返済を保証する「インドネシア政府による債務保証」が必須だった点です。

中国の「財政負担ゼロ」という一手

この状況を根底から覆したのが、後から競争に参入した中国の提案でした。中国が提示した条件は、インドネシア政府にとってまさに「破格」と言える内容だったのです。

プロジェクトにかかる事業費の全額を中国側の銀行が融資し、さらに最も重要な点として、インドネシア政府に対して一切の財政負担や債務保証を求めない、という大胆な条件を打ち出しました。

国の予算を圧迫せず、公的な借金を増やしたくないインドネシア政府にとって、この「財政負担ゼロ」という提案は、日本の技術的な優位性を上回るほどの魅力を持っていました。最終的に、技術力や安全性といった長期的な視点よりも、短期的な財政リスクを回避できる中国案に軍配が上がったのです。

決め手は「政府保証なし」という破格の提案

日本と中国による世紀の受注競争、その勝敗を最終的に決したのは、技術力の優劣ではありませんでした。決め手となったのは、中国が提示した「政府保証は不要」という、まさに破格の提案です。

日本の「堅実」なリスク共有モデル

まず、日本の提案の根底には「リスクの共有」という考え方がありました。日本の政府開発援助(ODA)が、相手国政府に債務の保証を求めるのは、ごく標準的な手続きです。

これは、貸す側と借りる側が共に事業のリスクを負い、責任を持ってプロジェクトを成功させようという堅実なアプローチです。万が一の事態に備える「安全装置」とも言えるでしょう。

中国の「大胆」なリスク吸収モデル

しかし、中国はこの国際的な常識を覆す提案をしました。「政府の保証は一切いりません」と宣言したのです。

これは、プロジェクトが抱える財政的なリスクをすべて中国側が引き受ける、ということを意味します。この極めて大胆な提案は、単なるビジネス判断ではありませんでした。背景には、インドネシアに中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な足がかりを築く、という地政学的な狙いがあったのです。

結果として、公的な債務が増えることを避けたいインドネシア政府は、リスクを丸ごと引き受けてくれる中国の提案に強く惹かれました。この「政府保証なし」という一言こそが、日本の新幹線を退け、高速鉄道プロジェクトの運命を決定づけたのでした。

「極めて遺憾」日本の報復はあったのか?

土壇場での中国案採用という決定は、日本に大きな衝撃を与えました。当時の政府関係者からは厳しい言葉も聞かれましたが、一部で噂されたような「報復」は本当にあったのでしょうか。

官房長官が示した強い不快感

2015年9月、インドネシア政府の決定が報じられると、当時の菅義偉官房長官は記者会見で「常識では考えられない」「極めて遺憾」と述べ、露骨な不快感を示しました。これは外交上の発言としては非常に強いトーンであり、長年協力してきた計画を覆された日本政府の失望の大きさを物語っています。

一部では、日本が実施した事業化調査のデータが中国側に流出したのではないかという疑惑も浮上し、日本側の不信感はピークに達しました。

報復ではなく「協力継続」という現実

しかし、日本政府がインドネシアに対して経済制裁のような「報復措置」を取ったという事実はありません。むしろ、高速鉄道とは別のインフラプロジェクトでは、協力関係が継続、強化されています。

その最も象徴的な例が、首都ジャカルタの都市高速鉄道(MRT)です。このMRTプロジェクトは、日本の円借款と高い技術協力のもとで建設が進められ、2019年に開業しました。今ではジャカルタの悪名高い交通渋滞を緩和する重要な足として市民に愛され、同じく日本の支援で延伸計画も進行中です。

この事実は、日本が高速鉄道の一件と他の協力を切り離し、インドネシアとの友好関係を大局的な視点で維持していることを示しています。プロジェクトでの敗北はありましたが、それが両国関係の破綻に直結することはなかったのです。

インドネシア高速鉄道が抱える「失敗」と赤字の正体

インドネシア高速鉄道が抱える「失敗」と赤字の正体

建設の遅延と12億ドルの巨額予算超過

華々しい開業を飾ったインドネシア高速鉄道Whooshですが、その建設プロセスは決して順風満帆ではありませんでした。完成までの道のりは困難を極め、深刻な遅延と巨額の予算超過という大きな課題に直面したのです。

4年遅れた完成までの道のり

プロジェクトは2016年に着工された当初、わずか3年後の2019年には完成する予定でした。しかし、この楽観的な計画は早々に崩れ去ります。

最大の障壁となったのは、建設に必要な「用地買収」の難航でした。広大な土地を確保する手続きが複雑で遅々として進まず、工事そのものを開始できない期間が続いたのです。さらに、2020年以降は新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが追い打ちをかけました。資材の供給や作業員の移動が制限され、工期はさらに延びていきました。

雪だるま式に膨らんだ12億ドルの追加費用

建設の遅延は、そのままコストの増大に直結します。工期が延びるにつれて人件費や資材管理費は雪だるま式に膨らんでいきました。

最終的に、当初の予算を約12億米ドルも上回るコスト超過が発生することが明らかになりました。これは日本円にして1800億円以上にも相当する、まさに天文学的な金額です。

結果として、Whooshの商業運行開始は2023年10月となり、当初の計画から4年もの大幅な遅れを喫しました。この深刻な遅延と予算超過は、プロジェクトが「失敗」と批判される大きな要因となっています。

「保証なし」が招いたインドネシア政府の財政出動

受注競争で日本を退ける決め手となった、中国の「政府保証なし」という提案。しかし、このインドネシア政府にとって魅力的に響いた約束は、建設プロセスで発生した巨大な問題の前にもろくも崩れ去ることになります。

乗り越えられない12億ドルの壁

前の見出しで触れた通り、このプロジェクトは最終的に約12億ドル、日本円にして1800億円以上という巨額の予算超過に見舞われました。この莫大な追加コストは、事業主体であるインドネシアと中国の共同事業会社が単独で吸収できる規模をはるかに超えていました。

プロジェクトは、資金不足によってとん挫しかねない深刻な事態に陥ったのです。

破られた「財政負担ゼロ」の約束

国の威信をかけた巨大プロジェクトを、ここで失敗させるわけにはいきません。この危機的な状況を前に、インドネシア政府は苦渋の決断を迫られます。

そして政府が下した決断は、「国家予算からの資金投入」、つまり自国の税金を使った財政出動でした。これは事実上の救済措置であり、この瞬間、「政府の財政負担は一切ない」というプロジェクト発足時の大原則は、完全に破綻したのです。

結局、「政府保証なし」という言葉は、リスクを消し去ったわけではありませんでした。単に問題の表面化を先送りにしただけであり、国家的なプロジェクトが危機に陥れば、最終的な責任は国家が負わざるを得ないという厳しい現実を浮き彫りにする皮肉な結果を招いたのでした。

回収に139年?専門家が試算する赤字の実態

連日多くの乗客で賑わうインドネシア高速鉄道Whoosh。その光景だけを見ると、プロジェクトは大成功を収めているように思えます。しかし、その財務状況に目を向けると、全く異なる厳しい現実が見えてきます。

「大人気」なのに「大赤字」という現実

Whooshが多くの人々に利用されているのは紛れもない事実です。週末には満席になることも珍しくありません。しかし、この運賃収入だけでは、日々の運行にかかる莫大なコストや人件費を支払い、さらに建設時に膨れ上がった巨額の借金を返済していくことは、極めて困難な状況です。

運行面での輝かしい成功とは裏腹に、財務面では深刻な赤字という大きな課題を抱えているのです。この「運行面の成功」と「財務面の失敗」の大きな乖離が、このプロジェクトの複雑さを象 ござい ます。

投資回収に139年?衝撃の専門家試算

このプロジェクトの財務的な厳しさを象徴するのが、インドネシアの経済専門家ファイサル・バスリ氏による衝撃的な試算です。その分析によると、この事業が建設に投じた費用を全額回収するには、なんと「少なくとも139年かかる」とされています。

もちろん、これは将来のインフレや経済成長を考慮しない一つの試算に過ぎず、政府関係者からは反論も出ています。しかし、Whooshが長期的に見ていかに大きな財政的負担を抱えているかを示す、重要な指摘と言えるでしょう。この財務的な課題こそが、プロジェクトが「失敗」とも批判される最大の理由なのです。

都心から遠い?駅のアクセスという根本的な問題

インドネシア高速鉄道Whooshは、世界トップクラスの速さを誇ります。しかし、その利便性を大きく損なっている、ある根本的な問題を抱えています。それは、主要な駅が都市の中心部から遠く離れた不便な場所にあることです。

郊外に作られた始発駅と終着駅

ジャカルタ側の始発駅であるハリム駅も、バンドン側の終着駅であるテガルアール駅も、どちらも都心部からかなり離れた郊外に建設されました。これは、計画の段階で用地買収の費用などを抑えるための、コスト削減が主な理由とされています。

しかし、この決定が、利用者にとって大きな負担を生み出す結果となってしまいました。

「46分の旅」が長くなるラストマイル問題

駅が都心から遠いことで、「ラストマイル問題」と呼ばれる新たな交通のボトルネックが生まれています。せっかく高速鉄道に乗って移動時間を46分に短縮しても、駅から最終的な目的地までタクシーや配車サービスでさらに1時間近くかかってしまう、というケースも少なくありません。

結果として、宣伝されている「46分」という時間は、あくまで駅と駅の間の所要時間に過ぎず、家から目的地までの「ドア・ツー・ドア」の総移動時間は、期待したほど短くならないのです。

この問題を緩和するため、バンドン側では途中のパダララン駅から在来線の接続列車に乗り換えることで中心部へアクセスできますが、このアクセスの悪さは、高速鉄道の最大の価値である「時間節約」の効果を損なってしまう、見過ごせない課題となっています。

次はスラバヤへ?延伸計画を阻む大きな壁

ジャカルタとバンドンを結んだ高速鉄道Whoosh。その次の目的地として、インドネシア第二の都市スラバヤへの延伸という、壮大な計画が持ち上がっています。しかし、その実現までには非常に大きな壁が立ちはだかっているのが現状です。

ジャワ島を横断する壮大なビジョン

この延伸計画がもし実現すれば、ジャカルタからスラバヤまでの鉄道での移動時間は、現在の約8時間からわずか4時間程度へと劇的に短縮されます。まさにインドネシアの交通に革命を起こす計画であり、推進派は「スラバヤまでつなげてこそ、高速鉄道の価値は最大化される」と主張しています。

政府もこの計画の実現可能性調査を進めており、国家的な重要プロジェクトとして検討が続けられています。

第一期工事の「失敗」という高い壁

しかし、この壮大なビジョンに待ったをかけているのが、またしても「資金」の問題です。ジャカルタからバンドンまでの第一期工事で経験した、巨額の予算超過と、約束を破っての政府による財政出動。この苦い記憶が、新たな巨大プロジェクトに踏み出す上で大きな足かせとなっています。

再び同じような財政的リスクを国家が負うことへの警戒感は政府部内にも根強く、2025年7月現在も、延伸計画に対する最終的なGOサインは出ていません。

壮大なビジョンと、過去の失敗がもたらした財政的な現実。この二つの間で、スラバヤ延伸計画は大きな岐路に立たされているのです。

まとめ:インドネシア高速鉄道は成功か失敗か?

まとめ:インドネシア高速鉄道は成功か失敗か?

記事のポイント

  • 開業1年足らずで乗客1千万人を突破する人気ぶり
  • 最高時速350kmでジャカルタとバンドンを最短46分で結ぶ
  • 日本の新幹線が有力だったが受注競争で中国に敗北した
  • 中国がインドネシア政府の債務保証を不要としたのが勝因
  • 用地買収の難航やパンデミックで完成は4年遅延した
  • 建設費は当初予算を12億ドル(約1800億円)も超過した
  • 「財政負担ゼロ」の約束は破られ、インドネシア政府が公的資金を投入
  • 専門家から投資回収に139年かかるとの試算が出るほどの赤字構造
  • 主要駅が都心から遠く、駅までのアクセスに時間がかかる課題がある
  • スラバヤへの延伸計画もあるが、巨額の資金問題が壁となっている

総括

この記事では、多くの注目を集めるインドネシア高速鉄道「Whoosh」について、その輝かしい成功と、裏側で抱える深刻な課題を多角的に掘り下げてきました。

運行面では、開業からわずかな期間で乗客1千万人を達成するなど、国民から絶大な支持を得ており「大成功」と言えるでしょう。その一方で、建設の大幅な遅延と巨額の予算超過、専門家が指摘する厳しい赤字構造、そして都心から離れた駅のアクセス問題など、計画段階からの「失敗」と批判される側面も数多く存在します。

なぜ日本の新幹線ではなく中国案が採用されたのか、その決め手となった「政府保証なし」という破格の提案が、結果的にインドネシア政府の財政出動を招いた皮肉な現実は、このプロジェクトの複雑さを象徴しています。

このように、インドネシア高速鉄道は、単に「成功か失敗か」という二元論では到底語れない、光と影を併せ持つ巨大プロジェクトです。この記事が、あなたが抱いていた疑問を解消し、物事を多角的に見るための一助となれば幸いです。

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