
「なぜ!?東南アジアのホテルには浴槽がない…」と、がっかりする前に
「やっとホテルに着いた!さあ、お風呂で汗を流そう」
そう思ってバスルームのドアを開けた瞬間、当然あると思っていた浴槽がなく、シンプルなシャワーブースだけ…。東南アジアを旅した多くの人が、一度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
「これはただのコスト削減?それとも、何か理由があるの?」
実は、東南アジアのホテルには浴槽がないことが一般的なのには、私たちが知らない深い理由が隠されています。その背景を知れば、旅のがっかりは「なるほど!」という発見に変わるはずです。
この記事では、その根本的な理由から、どうしても湯船に浸かりたいあなたのための具体的な解決策まで、徹底的に解説します。
●この記事を読んでほしい人
- 初めて東南アジア旅行を計画していて、ホテルの設備に不安がある人
- 旅先でも絶対に湯船に浸かって、一日の疲れを癒やしたい人
- 過去に浴槽のないホテルで、がっかりした経験がある人
●この記事を読むメリット
- 浴槽がない「本当の理由」が文化や気候の面からわかる
- 予約サイトで「バスタブ付き」の部屋を確実に探す方法が身につく
- 浴槽があってもお湯が出ない…という最悪の事態を避けられる
- トイレ横の謎のシャワー「バムガン」の正体と使い方がわかる
- ホテル以外で湯船に浸かる方法や、究極の裏技まで知ることができる
さあ、あなたも「がっかり」を「文化の発見」に変える、東南アジアのバスルームの旅へ出かけましょう!
なぜ?東南アジアのホテルには浴槽がない3つの理由

高温多湿な気候と独特のシャワー文化
「やっとホテルに着いて風呂に入ろうと思ったのに、浴槽がない…」と、びっくりした経験はありませんか。私も、初めて東南アジアを訪れた時には同じように驚きました。
東南アジアのホテルで浴槽を見かけない一番の理由は、日本の入浴文化と現地の文化とでは、お風呂に入る目的が根本的に違う点にあります。
入浴の目的は「温まる」より「冷ます」
日本のようなはっきりとした四季がなく、一年を通して蒸し暑いのが東南アジアの気候です。このような高温多湿な環境では、お風呂の主な役割は「冷えた体を温めること」ではありません。むしろ、汗を流して火照った体を「クールダウンさせ、さっぱりすること」が一番の目的になります。
湯船に熱いお湯をためてじっくり体を温める習慣は、そもそも気候に合わないのです。
1日2回は当たり前?現地のシャワー事情
現地の人々は、朝起きたときと、夜寝る前の1日2回、多い人では外出から帰るたびにシャワーを浴びます。汗を流して清潔を保つ行為は、自身の快適さだけでなく、他人へのエチケットでもあるという考え方が根付いています。
私がインドネシアの友人に「なぜそんなに頻繁にシャワーを浴びるのか」と聞いたところ、「汗をかいたままでいる方が気持ち悪いじゃないか」と不思議そうな顔をされたのが印象的でした。彼らにとって、シャワーは生活に欠かせないクールダウンの手段なのです。
体を「清める」という神聖な意味合い
東南アジアの入浴は、単に体を清潔にする以上の意味を持つ場合があります。
例えば、インドネシアには「マンディ」という伝統的な入浴方法があります。これは、水を張ったカメなどから手桶で水をすくい、体にかけ流すスタイルです。また、仏教やイスラム教では、沐浴が心と体を浄化する神聖な儀式とされています。
このように、リラックスすることよりも、心身を「清める」という行為自体が重視される文化的な背景も、湯船に浸かる習慣が広まらなかった一因と言えるでしょう。
これらの理由から、東南アジアではシャワーが生活の中心であり、浴槽の必要性が低いのです。
ホテル側のコストとスペースの問題点
気候や文化の他に、浴槽が少ないのにはホテル側の経営に直結する、とても現実的な理由があります。旅行者からは見えにくい、コストとスペースの問題点を解説します。
ホテル経営者の視点で考えてみると、浴槽を設置しないという判断が非常に合理的であることが見えてきます。
浴槽一つが生む大きなコスト差
まず、シンプルにお金の問題があります。浴槽は、シャワーブースを作るよりもはるかに高価です。
- 設置コスト浴槽本体の価格に加えて、設置するための複雑な配管工事など、初期費用が大きくかかります。客室が何百とある大きなホテルでは、その総額は莫大なものになります。
- 維持コストコストは設置して終わりではありません。日々の運営にも影響します。浴槽は衛生的に保つための清掃に時間がかかり、人件費が増加します。さらに、浴槽一杯にお湯を張るための水道代や光熱費は、短いシャワーとは比べ物になりません。
こうした費用を削減することは、特に宿泊料金を抑えている中価格帯以下のホテルにとって、非常に重要な経営判断なのです。
客室を広く見せるための空間マジック
次に、スペース、つまり空間の使い方の問題です。東南アジアの都市部のホテルでは、限られた敷地を有効活用しなくてはなりません。
浴槽はバスルームの中で大きな面積を占領するため、どうしても圧迫感が出てしまいます。一方で、浴槽をなくしてシンプルなシャワーブースにすると、バスルーム全体、ひいては客室全体が広く、開放的に感じられます。
最近のモダンなホテルでよく見かけるガラス張りのシャワーブースは、この空間を広く見せる効果を最大限に引き出すための工夫です。単にシャワーを浴びる場所というだけでなく、部屋をおしゃれに見せるデザインの一部にもなっています。
浴槽がないのは、決して手抜き工事というわけではありません。コストを抑え、限られた空間を旅行者に少しでも快適に感じてもらおうという、ホテル側の経営戦略の結果と考えるとしっくりくるのではないでしょうか。
実は重要!お湯が出ない給湯器事情
たとえ幸運にも浴槽付きの部屋を見つけたとしても、安心してはいけません。実は、東南アジアのホテルには「お湯」にまつわる、もっとも重要な落とし穴が存在するのです。
この給湯器事情を知っているかどうかで、旅の快適さは大きく変わってきます。
日本とは違う「貯めて使う」お湯
日本の多くの家庭では、蛇口をひねればいつでも温かいお湯が出てきますよね。しかし、東南アジアでは都市ガスが日本ほど普及していません。そのため、多くのホテルやアパートでは、各部屋に設置された「貯湯式(ちょとうしき)電気温水器」でお湯を作っています。
この温水器は、タンクの中に溜めた水を電気で温める仕組みです。つまり、タンクに溜まっている分のお湯しか一度に使えない、巨大な電気ポットのようなものを想像していただくと分かりやすいかもしれません。
浴槽を満たせない小さな給湯タンク
ここからが重要な問題点です。多くのホテル、特に中価格帯以下のホテルに設置されている温水器は、タンクの容量が20~50リットル程度と非常に小さい場合がほとんどです。この容量は、短いシャワーを1回浴びることを想定して設計されています。
しかし、一般的な浴槽をお湯で満たすためには、約200リットルものお湯が必要です。シャワー数回分のお湯が一気に無くなる計算になります。
「バスタブあり」でも安心できない理由
もう、お分かりですよね。容量の小さな温水器しかない部屋で浴槽にお湯を張ろうとすると、どうなるでしょうか。
最初は勢いよく熱いお湯が出ていたのに、浴槽の半分も溜まらないうちにお湯が尽きてしまい、あとは冷たい水しか出てこない…。結果として、到底くつろぐことなどできない「ぬるま湯」が出来上がってしまいます。
これは、ベトナムやマレーシアなどを旅した多くの旅行者が実際に経験する「あるある」な失敗談です。せっかくのバスタイムが、残念な思い出に変わってしまうのです。
ですから、「バスタブあり」という表記は、必ずしも日本のような快適な入浴を保証するものではない、という事実をぜひ覚えておいてください。
私がベトナムで体験した驚きのシャワー
これまでにご紹介した内容は、知識として知っているのと、実際に体験するのとでは大違いです。ここで、私自身の話を少しさせてください。
今でこそ東南アジアの旅にはすっかり慣れましたが、私が初めてベトナムを訪れた時のシャワー体験は、今でも忘れられません。
初めてのベトナムで受けた洗礼
旅の目的地は、活気あふれる都市ホーチミンでした。南国の蒸し暑さの中、一日歩き回ってホテルに帰り着き、汗を流そうとバスルームの扉を開けました。
目に飛び込んできた光景に、私は思わず固まってしまいました。当然あると思っていた浴槽がなく、壁からシャワーヘッドが直接伸びているだけの、とてもシンプルな空間だったのです。これが、私が東南アジアの洗礼を初めて受けた瞬間でした。
お湯の温度より衝撃的だった水の出方
気を取り直してシャワーを浴びようと蛇口をひねると、二度目の驚きが待っていました。
シャワーヘッドから出るお湯は、日本のようにきれいに拡散しません。まるで、細いホースから水が数本出ているような頼りない状態です。
さらに、前の見出しで解説した給湯器の問題も、身をもって体験することになりました。温かいお湯が出てきてホッとしたのも束の間、数分後には温度が急に下がり、最後にはほとんど水になってしまったのです。
日本では考えられないこの現実に、「海外に来たんだな」と強く実感しました。
この驚きのシャワー体験は、私にとって「日本の当たり前は、世界では当たり前ではない」という事実を痛感させてくれる、忘れられない出来事の一つです。
トイレ横の謎のシャワー「バムガン」
浴槽の有無だけでなく、東南アジアのバスルームには日本人を驚かせる、もう一つの特徴的な設備があります。
便器の横にちょこんと設置された、小さなハンドシャワー。初めて見ると「これでトイレを掃除するのかな?」など、何に使うのか分からず戸惑うかもしれません。この謎のシャワーの正体と使い方を解説します。
正体はトイレットペーパー代わりの洗浄シャワー
通称「バムガン」とも呼ばれるこのハンドシャワーは、用を足した後に、お尻を水で洗い流すための設備です。日本でいう温水洗浄便座の機能を、手動で行うものと考えていただくと分かりやすいでしょう。
イスラム教の文化圏などでは、紙で拭くだけでなく水で洗い流す方がより衛生的である、という考え方が広く浸透しています。東南アジアの多くの国々で、このハンドシャワーが一般的に使われているのは、そういった文化的な背景があるのです。
使う前に必ず水圧チェックを!
もし、このハンドシャワーを使ってみようと思うなら、一つだけ絶対に守ってほしい注意点があります。それは、いきなり自分に向けず、まず便器の中にシャワーの先を向けて、レバーを少しだけ握り、水圧を確認することです。
施設によっては、想像を絶するほど水圧が強い場合があります。加減をせずにレバーを握ると、水がとんでもない勢いで噴射され、バスルーム中が水浸しになる大惨事を引き起こしかねません。
トイレの床が濡れている理由
そして、このハンドシャワーの存在こそが、東南アジアの多くのトイレで床が濡れている一番の理由です。
シャワーを使うことで、どうしても床に水が飛び散ってしまいます。現地の人は慣れているのであまり気にしません。ですから、床が濡れているのを見ても「掃除が行き届いていないのでは?」と心配する必要はありません。「これはシャワーを使う文化のせいなんだな」と理解しておくと、気持ちが楽になりますよ。
最初は戸惑うかもしれませんが、このシャワーの意味を知ると、また一つ東南アジアの文化に深く触れられたような気がして、旅が面白くなるはずです。
東南アジアのホテルで湯船に浸かる5つの方法

予約サイトで「バスタブ付き」を探すコツ
東南アジアで湯船に浸かることを諦める必要はありません。ホテル予約サイトを上手に使えば、浴槽付きの快適な部屋を見つける確率はぐっと上がります。
ここでは、私がいつも実践している予約サイトで失敗しないためのコツをご紹介します。
まずは「絞り込み機能」を活用する
AgodaやBooking.comといった大手のホテル予約サイトには、客室の設備でホテルを絞り込む便利な機能があります。
まずは、検索条件の「客室設備」や「アメニティ」といった項目の中から、「バスタブ」または「浴槽」のチェックボックスを探して選択してください。この一手間で、浴槽付きの部屋があるホテルだけを効率的にリストアップできます。
最重要!予約する客室の写真で裏付けを取る
しかし、この絞り込み機能だけを信じてすぐに予約するのは早計です。ここからが最も重要なポイントになります。
なぜなら、ホテル全体の設備として「バスタブあり」と表示されていても、実際には一部の高価なスイートルームにしか設置されていないケースが非常に多いからです。
必ず、予約したい客室タイプ(例:「デラックスルーム」や「スタンダードツイン」など)を選び、その客室の写真の中に、浴槽がはっきりと写っているかをご自身の目で確認してください。この写真での裏付け作業が、現地でのがっかりを防ぐ一番の対策です。
宿泊者の口コミでリアルな情報を確認
最後の仕上げとして、宿泊者の口コミ情報もチェックしましょう。
最近のレビューの中から、「バスタブ」や「お風呂」、「hot water」といったキーワードで検索をかけてみてください。すると、先人たちの貴重な体験談を読むことができます。
浴槽の有無はもちろん、お湯が問題なく出たか、清掃は行き届いていたかなど、写真だけでは分からないリアルな使用感が分かります。特に「お湯が途中で水になった」などの書き込みがないかは、重要なチェック項目です。
この3つのステップを踏むだけで、快適なバスタイムが手に入る可能性は格段に高まりますよ。
狙い目は日系か5つ星の高級ホテル
予約サイトで一部屋ずつ条件をチェックするのが少し面倒だと感じる方や、「絶対に失敗したくない」という方には、もっと確実な方法があります。
それは、探すホテルの種類を最初から絞り込むことです。
国際基準の快適さを求めるなら5つ星ホテル
最も手堅い選択肢は、国際的な評価基準で運営されている5つ星の高級ホテルを選ぶことです。
リッツ・カールトンやシャングリ・ラ、インターコンチネンタルのような世界的な高級ホテルチェーンでは、快適なバスタイムはゲストに提供すべき重要なサービスの一部と位置づけられています。そのため、機能的な浴槽が備え付けられている可能性が非常に高いです。
何より、しっかりとした給湯設備といったインフラも整っているため、お湯の量を心配する必要もほとんどありません。旅の疲れを癒すための、優雅で快適なバスタイムが期待できるでしょう。
日本の「お風呂文化」を理解した日系ホテル
もう一つの狙い目は、現地の日本人コミュニティを支える日系ホテルです。
日系ホテルは、日本人旅行者の「湯船に浸かりたい」という切実な願いを、どの国のホテルよりも深く理解しています。個室の浴槽はもちろんのこと、ホテルによっては大浴場やサウナ、中には露天風呂まで完備している場合があります。
例えば、ベトナムにある「東屋ホテル」や「サクラホテル」などは、その代表格です。このようなホテルは、日本人にとってまさに砂漠の中のオアシスと言える存在です。
投資する価値のある確実な選択
確かに、ここでご紹介したホテルは、中価格帯のホテルに比べて宿泊費が高くなる傾向があります。
しかし、予約時の手間や、現地でがっかりするリスクを考えれば、その価値は十分にあります。「旅先でのお風呂の時間」を大切にしたい方にとっては、安心して選べる最も確実な選択肢です。
最新!現地のスーパー銭湯を利用する手
もし、立地や予算が完璧なホテルを見つけたのに、浴槽がない…そんな時でも、がっかりする必要は全くありません。
ここ数年、私が最もおすすめする方法は、入浴をホテルの外で楽しむという選択肢です。東南アジアの主要都市には、日本の温浴文化を体験できる素晴らしい施設が続々と誕生しています。
宿泊先と入浴は「別」と考える新発想
ホテルは寝る場所と割り切り、お風呂は最高の専門施設で楽しむ。このように、宿泊と入浴を分けて考えると、旅の計画の自由度と満足度がぐっと上がります。
近年オープンしている温浴施設は、日本人観光客や駐在員だけでなく、現地の富裕層にも人気で、非常に清潔でクオリティが高いのが特徴です。浴槽のないホテルに泊まり、日中の観光を楽しんだ後、夜はスーパー銭湯でゆっくり疲れを癒す、という新しい旅のスタイルはいかがでしょうか。
【都市別】おすすめの温浴施設
ここでは、私が実際に訪れたり、旅仲間から評判を聞いたりした、東南アジア主要都市のおすすめ温浴施設をいくつかご紹介します。
- バンコク(タイ)「湯の森温泉&スパ」は、まさに日本のスーパー銭湯そのものです。炭酸泉やジェットバスなど多彩な浴槽があり、旅の疲れを癒すのに最適です。都会の絶景を望む「パンピューリ ウェルネス」のような、高級スパで温泉を楽しむ選択肢もあります。
- シンガポールバンコクでも人気の「湯の森温泉&スパ」が進出しています。また、24時間営業の「g.spa」は、料金に食事や飲み物が含まれるオールインクルーシブの施設で、時間を気にせずリラックスできます。
- クアラルンプール(マレーシア)「Sakura Spa」のような24時間営業の施設があり、ジャグジーやサウナで汗を流せます。
- マニラ(フィリピン)ホテル内にある日本式温泉「I’M Onsen Spa」や、マッサージとセットで楽しめる「Wensha Spa」などが人気を集めています。
料金や営業時間は変更されることがあるため、訪問前には必ず公式サイトなどで最新の情報を確認することをおすすめします。現地の新しいオアシスで、日本の誇るお風呂文化を存分に楽しんでみてください。
【国別】バスルーム事情の注意点
一口に東南アジアと言っても、国やホテルのランクによってバスルーム事情は少しずつ異なります。旅の目的地が決まっている方は、ここでご紹介する国別の特徴をぜひ参考にしてください。
ベトナム:給湯タンクの容量に注意
ベトナムで浴槽付きの部屋を見つけた場合、最も注意したいのがお湯の量です。多くのホテルでは、容量の小さい貯湯式電気温水器を使用しているため、浴槽を満たす前にお湯が水に変わってしまうことがよくあります。特に寒い時期にハノイなどを訪れる際は、この給湯能力が快適さを大きく左右します。
タイ:シャワー文化と発達したスパ
タイでは、1日に何度もシャワーを浴びる文化が深く根付いています。そのため、一般的なホテルで浴槽を見つけるのは難しいでしょう。その代わりに、街中には世界レベルのスパが充実しています。タイでの入浴は、ホテルの部屋で行うものというより、専門のスパへ「癒されに出かける」もの、と考えると旅がより楽しくなります。
マレーシア:浴槽があっても油断は禁物
マレーシアでは、中価格帯のホテルでも浴槽が見つかることがあります。しかし、清掃が行き届いていなかったり、ベトナム同様にお湯の出が悪かったりするケースも報告されているため、少し注意が必要です。浴槽の清潔さが気になる場合は、無理せずシャワーで済ませるのが無難かもしれません。
シンガポール:ホテルのランクで大きく異なる
国土が狭くスペースが貴重なシンガポールでも、シャワー中心の文化は同じです。しかし、国際的なビジネス・観光都市であるため、高級ホテルは世界基準の設備を強く意識しています。多くの5つ星ホテルでは、日本人旅行者も満足できる清潔で機能的な浴槽が期待できます。
インドネシア・フィリピン:設備の差が激しい
インドネシアやフィリピンでは、宿泊施設のレベルによって設備の差が非常に大きいのが特徴です。首都や観光地を離れると、水シャワーのみといった簡素な施設も珍しくありません。一方で、バリ島などのリゾート地にある高級ヴィラでは、絶景を望む豪華なバスルームが用意されています。フィリピンでは、ホテルによってシャワーの水圧が弱い場合もあるため、その点も留意しておくとよいでしょう。
旅の疲れを癒す折りたたみ足湯の術
これまで様々な方法をご紹介してきましたが、どんなホテルに泊まっても、予算に関係なく実践できる究極の裏技があります。
これは、私が長年の旅でたどり着いた、ささやかながらも最高の贅沢かもしれません。
究極の裏技は「携帯用の足湯」
その方法とは、日本から「折りたたみ式のバケツ」を持参し、客室で即席の足湯を楽しむことです。
「なんだ、そんなことか」と思われるかもしれませんが、この足湯がもたらす効果は絶大です。一日中歩き回ってパンパンになった足を熱いお湯に浸すだけで、血行が良くなり、驚くほど疲れが和らぎます。全身浴とはまた違う、足元からじんわりと温まる心地よさは格別です。
準備するのは折りたたみバケツ一つだけ
準備するものは、シリコン製などでできた、コンパクトに折りたためるバケツ一つだけです。アウトドア用品店や通販サイトなどで、1,000円前後から手に入ります。畳んでしまえば荷物の中でもほとんど場所を取りません。
使い方はとても簡単です。バスルームのシャワーブースでバケツにお湯を溜めるだけなので、給湯タンクの容量を気にする必要もありません。
足元からじんわりと旅の疲れをほぐす
椅子に座ってゆっくり足湯に浸かる時間は、旅の喧騒から離れ、心身をリセットするとても良い機会になります。テレビを見ながら、あるいは音楽を聴きながら、その日一日の出来事を振り返る。このような時間を持つことで、次の日の観光も新たな気持ちで楽しむことができます。
日本からお気に入りの入浴剤を一回分だけ持参すれば、さらにリラックス効果が高まりますよ。
浴槽がないからと諦めるのではなく、このように工夫次第で旅の快適さは格段に向上します。荷物の片隅に忍ばせておくだけで安心感が得られる、旅のベテランならではの知恵です。
まとめ:「東南アジアのホテルには浴槽がない」問題は工夫で解決!

記事のポイント
- 高温多湿な気候で、体を温めるよりクールダウン目的のシャワーが主流である
- 1日に複数回シャワーを浴びる文化が根付いており、浴槽の必要性が低い
- 浴槽は設置や清掃、水道光熱費といった維持コストがホテル側の負担となる
- 浴槽をなくすことでバスルームや客室全体を広く見せるという設計上の意図がある
- 各部屋のお湯は、タンクに溜めて使う「貯湯式」が多いため一度に使える量が限られる
- 浴槽があっても給湯タンクの容量が小さく、お湯を溜め切る前に水になることがある
- トイレ横の謎のシャワーは、お尻を洗浄するためのトイレットペーパー代わりである
- 予約サイトの絞り込み機能だけでなく、必ず客室の写真を見て浴槽の有無を判断する
- 確実に湯船に浸かりたいなら、インフラが整った5つ星か日本の文化を理解した日系ホテルが狙い目
- ホテル外のスーパー銭湯を利用したり、折りたたみバケツで足湯をしたりする選択肢もある
総括
なぜ東南アジアのホテルには浴槽がないのでしょうか。その答えは、単なるコスト削減や手抜きではなく、現地の気候や生活文化、そしてホテル側の現実的な事情が複雑に絡み合った結果であることを、お分かりいただけたかと思います。
この背景を知るだけで、「浴槽がなくてがっかり…」という残念な気持ちが、「なるほど、これが文化の違いなのか」という興味深い発見に変わるはずです。
そして、たとえお目当てのホテルに浴槽がなくても、快適なバスタイムを諦める必要はまったくありません。予約サイトで上手に探すコツ、5つ星や日系ホテルといった確実な選択肢、さらには現地の温浴施設や持参したバケツでの足湯など、工夫次第で旅の疲れを癒やす方法はたくさんあります。
この記事で得た知識が、あなたの次の東南アジア旅行をより計画的で、何倍も思い出深いものにする一助となれば幸いです。これからも、あなたの旅がもっと面白くなるようなリアルな情報をお届けしますので、ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね。